猫の病気・健康

猫が咳をする原因と考えられる病気は?対処法や受診の判断について

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猫が咳をする原因と考えられる病気は?対処法や受診の判断について

愛猫が咳をすると「なにか病気でもあるのかな」と不安になりますよね。

猫は基本的に咳をしない生き物なので、愛猫の咳はなにか病気が潜んでいるサインかもしれません。

この記事では、猫の咳の原因と対処法、考えられる病気を解説します。

記事を読めばすぐに病院を受診すべき症状なのかわかるので、ぜひ参考にしてください。

執筆・監修

綺咲 ひろな

綺咲 ひろな

編集部ライター、愛玩動物飼養管理士2級

動物専門学校の看護学科卒業。現役の獣医や看護師、トリマーのもとで病気やしつけ、グルーミングや小動物の生態など、幅広く学び実習を重ねてきました。
幼いころから動物が好きで、犬4頭とハムスター5匹の飼育経験があります。わんちゃん特有の匂いが大好き…!

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猫が咳をする原因とは?

愛猫が咳をしていると飼い主さんにとっては心配事。普段、あまり咳をすることがないと、必要以上に心配になることもあるでしょう。

そんな猫の咳には、いくつかの原因があり、気をつけたいものと様子を見ていいものがあります。

猫が咳をする原因は主に次の通りです。

  • 生理現象
  • 病気やケガ

喉や気管支など呼吸器への刺激を感じると咳をします。

咳をする前後にどんな行動をしていたか、何をしていたかによっても判断できるものがあります。

生理現象による咳

異物の侵入を感じ、身体を守るための反応として出る咳が生理現象による咳です。

人間と同様、ホコリを吸うと呼吸器が刺激され咳をします。

また、早食いをしたり水を一気に飲んだりするときにもむせる姿がみられるでしょう。

このように呼吸器への刺激を感じると一時的に咳が出ます。

病気やケガによる咳

病気やケガが原因の咳は1日で治まらず、長期的に続くのが特徴です。

1日に何度も出たり、頻度は少なくてもいつまでも治らない場合は病気やケガの可能性があるでしょう。

根本的な原因の改善が必要になりますので、必ず動物病院を受診しましょう。

咳とくしゃみの見分け方

猫の咳とくしゃみはよく似ていて、聞くだけでは判断が難しいです。

しかし、しぐさにはわかりやすい特徴があります。

咳のとき低くかがむような体勢になり首を伸ばす
くしゃみ頭を振る

よく観察すると違いがわかるでしょう。

このような特徴があまり見られず見分けがつかなかった場合には、診察の参考になるように動画の撮影をしておきましょう。

猫の咳から考えられる病気

猫の咳には、大きな病気が潜んでいる可能性があります。

一時的なものや生理現象によるものであれば安心できますが、もし長続きしているようであれば病気やケガを疑うことになります。

ここでは主に考えられる病気をご紹介します。

猫風邪(上部気道感染症)

発熱やくしゃみ、目やにや咳などを引き起こす病気です。ウイルスや細菌などが原因で、他の猫から風邪をもらってしまいます。

主な病原体は、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、猫クラミジアです。

しかし、他のウイルスや細菌による二次感染もあります。

二次感染がおこると重症化しやすく、肺炎になってしまう可能性も。免疫力が低下していると二次感染しやすいので、用心しましょう。特に子猫や高齢猫は、もともとの免疫力が低いので要注意です。

さらに、猫ヘルペスウイルスによる猫風邪は再発しやすく、そういった場合長く付き合っていかなければなりません。

猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、猫クラミジアはワクチン接種で予防できます。

室内飼いだからと安心していても、飼い主が病原体を持ち込む可能性もあります。

愛猫がなんらかの拍子で外に出てしまうケースも考えれるので、ワクチン接種はしておきましょう。

猫喘息

繰り返す咳やえづき、呼吸困難の症状がみられる病気です。研究結果が出ている明確な原因はありませんが、多くはアレルギーが関与していると考えられています。

原因物質(アレルゲン)は花粉やハウスダスト、タバコや芳香剤などとさまざまです。

アレルギー以外の要因は、冷たい空気や粉末の吸引、ストレスや運動などがあります。

一度発症すると完治は難しく、長期的な治療とともに原因物質を特定し、回避することが重要です。

初期症状の段階で治療を開始できると、症状は治まりやすくなります。しかし、治療が遅れてしまうと重症化しやすく、他の病気に発展することも。

さらに呼吸困難に陥ると、酸素不足でチアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色に変わる症状)になる恐れもあります。

猫喘息の治療は、症状の軽減を目的とする対症療法です。アレルギーが原因の喘息の場合は、原因物質との接触を避けるようにしましょう。

猫喘息は重症化すると命を危険にさらす病気なので、早期発見、早期治療が大切です。

肺炎

名前の通り肺が炎症を起こす病気。一般的に多くみられるのはウイルスや細菌の感染による細菌性肺炎で、そのほとんどは猫風邪からの二次感染です。

免疫力の低い猫がかかりやすく、子猫や老猫はもちろん、猫風邪を発症している成猫も肺炎になります。

ほかにも食べ物や異物が肺に入ってしまうことで起きる誤嚥性肺炎や、原因不明の特発性肺炎があります。

くしゃみや鼻水、発熱など、風邪とよく似た初期症状です。元気や食欲がなくなったり、咳が出ることも。

重症化すると高熱が出たり、呼吸困難を起こしてチアノーゼを発症します。

肺炎は他の呼吸器系の疾患より症状が重い傾向があるため、命を落とす可能性があります。特に子猫は重症化しやすいので注意が必要です。

肺炎の治療は薬の投与による内科的治療が行われ、呼吸困難がみられる場合には酸素吸入します。

細菌性肺炎はワクチン接種で予防できるので、獣医師と相談して行うといいでしょう。

早期発見、早期治療ができるよう迅速な対処を心がけてください。

肺水腫

血管から血液の液体成分が肺に漏れることで、肺に水が溜まる病気です。血液の循環が悪くなることで発症します。

心臓疾患が原因の心原性肺水腫と、それ以外が原因の非心原性肺水腫があります。

肺に水が溜まると酸素がうまく取り込めません。そのため息が荒くなったり咳が出たりします。

重症化すると多くの酸素を取り込もうと口を開けて呼吸する開口呼吸もみられます。特に心臓疾患を持っている子は要注意。

湿っぽい咳、動こうとしない、開口呼吸をするという様子は肺水腫になっている可能性が高いといえるでしょう。

また、低酸素状態になると姿勢を変えることすら苦しいので、猫は動くことを嫌がりじっとしている時間が増えます。

肺水腫は進行が早い病気で、遅いと数日、早いと数時間で悪化してしまいます。

先述の症状に付随してぐったりしたり、ボーっとしたりしている様子が見られたら、呼吸や心臓がいつ止まってもおかしくありません。末期状態といえるので早急に病院に行きましょう。

治療は、酸素を投与する酸素療法と、肺水腫を引き起こす原因となった基礎疾患の原因療法が行われます。

肥大型心筋症

心臓の筋肉が分厚くなり、心機能が低下する病気です。猫の心臓疾患で一番多いといわれています。

メインクーンラグドールなど、特定の猫種での発症が多いので遺伝的な要因が関係していると考えられていますが、断定はされていません。

心筋が分厚くなると心臓はうまく膨らまず、血液を送る機能を果たせなくなります。

初期段階ではほとんど症状は現れず、進行すると食欲の低下や横になる姿が多くみられます。

また、肺水腫や胸水などの合併症を引き起こし咳や呼吸困難を起こすので、咳の症状を確認したときにはかなり進行が進んでいるといえるでしょう。

最悪の場合、循環不良の血液が血栓となり命を脅かす病気に繋がります。

肥大型心筋症を患っている猫の割合は高く、心雑音や症状のない健康な猫にも11~16%ほど認められたと報告されています。発症する年齢も幅広く、まだ若いからと油断はできません。

完治させる治療法は今のところなく、薬での対症療法となります。血液の流れをよくするために血管を拡張させたり、心臓の収縮力を高め心機能をサポートします。

初期段階で発見し、すぐに治療を始めて進行を遅らせることが望ましいですが、肥大型心筋症は初期症状がなく早期発見が難しい病気です。

そのため特定の検査を定期的に受けることが大切になります。

腫瘍

肺にできた腫瘍により咳が出ることもあります。肺の腫瘍の多くは、他の腫瘍が転移してきた場合が多いです。

初期症状はあまりみられず、進行すると頻繁に咳をしたり、呼吸が早くなったりします。

ほかにも食欲の低下や体重の減少がみられ、このような症状に気付いたときには、すでに病気が進行している段階といえるでしょう。

肺の腫瘍を見つけるころには末期状態であることが多く、完治が困難なケースが多いといわれています。

治療は外科手術で病変部を切除したり、症状の緩和を求める姑息手術が行われます。

肺腫瘍も早期発見が難しいため定期的な検診を受け、体調の変化がみられたら早めに動物病院を受診しましょう。

気管支炎

気管支に炎症が起きる病気。多くはウイルスや細菌の感染により引き起こされるもので、病原体は猫ヘルペスウイルスや、猫カリシウイルスです。

そのほかにも煙やガス、薬品の吸引や異物の誤飲、アレルゲン物質などもあります。

気管支炎の主な症状は咳ですが、元気がなくなったり食欲の低下もみられます。悪化すると肺炎を引き起こす可能性があるので、放置せず適切な処置を受けましょう。

感染症で誘発した気管支炎には、薬による治療を行います。異物の吸引には気管支を洗浄したり、アレルギーによるものは原因物質を遠ざけることで対処します。

猫風邪同様、気管支炎はワクチン接種で防げるので積極的に受けましょう。

毛球症

猫が自分で行うグルーミングやなんらかのタイミングで摂取した毛が、胃や腸などで毛玉となり溜まってしまう病気です。

本来、飲み込んだ毛玉は吐き出されたり便と一緒に出てきます。しかし、うまく排出できないと胃の中で絡まり大きくなって、便秘や嘔吐、食欲不振を引き起こします。

また、異物である毛玉を吐こうとして咳が出ることも。

吐こうとする動作を何度も繰り返してしまうと、逆流性食道炎になる可能性があります。

症状が軽いときは薬で改善しますが、毛球が消化管の流れを邪魔していたり、閉ざしてしまっている場合は手術で毛球を取り除くことになるでしょう。

長毛種に特に起こりやすい病気です。日常的にブラッシングを心がけ、摂取する毛の量を少しでも減らしてあげましょう。

毛球症の予防に特化したごはんもあるので取り入れるのも効果的です。

猫の生理現象による咳の対処法・予防

愛猫がなぜ咳をしたのか判断できる場合は、その原因を取り除きましょう。

早食いの対処法・予防

早食い防止の食器を使用したり、少量ずつ与えるためご飯の回数を1回増やしてみましょう。

このとき、1回の量を変えたとしても1日で与える量は変えないように注意してください。

ドライフードの場合は水でふやかすことでも予防できます。

大量の水のみの対処法・予防

水皿を変えたり、水皿の高さを変えたりしましょう。

様子を見ながら愛猫に合ったアイテム、高さを選んでください。

ペットボトルにノズルが付いた給水器の使用もおすすめです。また、水の温度を変えるのも効果的。

冷たい水は咳が出やすくなるので、常温の水を与えるようにしましょう。

ホコリやゴミの吸引の対処法・予防

こまめな掃除や空気清浄機を使用してホコリやゴミを取り除いてあげます。

ホコリが出やすいものを近くに置かないなど、生活環境への工夫が必要です。

猫の病気やケガによる咳の対処法・予防

まず、咳の症状がみられたら記録を取るようにしましょう。

いつから咳が始まったのか、状況、回数、ほかにみられる体調の変化など細かくメモします。

また、獣医師の判断材料を増やすため動画を撮影しておくと、正確な診断がしやすくなります。

応急処置としては部屋の移動や喚気がありますが、咳が続く場合は早めに病院に行きましょう。喘息を発症している場合は、原因となっているアレルゲンから遠ざけてあげることが大切です。

二次感染で肺炎を引き起こす猫風邪や気管支炎は、ワクチン接種で予防ができます。

小さな病気が命に関わる大きな病気に発展します。ワクチン接種で予防しておくことは命を守るために重要なことです。

重度になると咳が出る病気もあるので、定期的な検診を受けることも大切。

愛猫が咳をするときの病院受診目安

「咳が出ているけど一時的なものかも」と、診察を受けるか悩むこともありますよね。

一般的な受診目安を解説します。

様子を見て問題ない咳の症状

様子を見ても大丈夫な症状は以下の通りです。

  • 咳が出てもすぐに治まる
  • 長期的に繰り返すことなく元気や食欲もある

1日で治まるような軽い咳は様子を見ても問題ありません。

多くの場合、生理現象で起こっている可能性が高いです。

すぐに動物病院を受診すべき咳の症状

早急に動物病院へ行くべき症状は次の通りです。

  • 咳がずっと続いている
  • 呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする
  • 苦しそう
  • 開口呼吸している
  • チアノーゼを引き起こし舌や粘膜が青紫色になっている
  • 呼吸が早い

猫はあまり咳をしない生物なので、病気でない限り咳が長引くことはありません。

1日に何度も咳をしたり、頻度が少なくても長期的に続いている場合は、なんらかの疾患を患っている可能性が高いでしょう。

また、猫は口を開けて呼吸しません。「ハァハァ」と開口呼吸をしていたら苦しくなっている証拠といえます。

猫の咳は放っておくと、大きな病気に繋がる可能性が高いので、異変に気付いたら迷わず動物病院を受診してください。

猫の咳に気付く頃にはすでに病状は進行して、重症化している場合が多くあります。

ワクチン接種はもちろん、定期的な検診を受けることも命を守るためには必要なことです。獣医師と相談しながら検診の計画を立てましょう。

どの病気も早期発見、早期治療がとても大切です。言葉が話せない動物だからこそ、家族がしっかり異変に気付けるよう日ごろから愛猫の様子をよく見ておくといいですね。

この記事の執筆者

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綺咲 ひろな

綺咲 ひろな

編集部ライター、愛玩動物飼養管理士2級

動物専門学校の看護学科卒業。現役の獣医や看護師、トリマーのもとで病気やしつけ、グルーミングや小動物の生態など、幅広く学び実習を重ねてきました。
幼いころから動物が好きで、犬4頭とハムスター5匹の飼育経験があります。わんちゃん特有の匂いが大好き…!
ライターとして正しい情報をお届けし、「動物たちへの愛がより深まる記事」をモットーに執筆します。

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