子猫にあげていた離乳食も、成長するにつれドライフードに切り替える時が来ると思います。
噛む力が弱く、まだ消化器官も成猫のようにはしっかりしていない子猫。
そのため最初の数ヶ月は、ふやかして柔らかくしてあげる必要があります。
いつまでふやかす必要があるのか、ふやかし方のポイントや、通常のドライフードに切り替えるタイミングなどをご紹介します。
この記事の結論
- 子猫のドライフードをふやかす時期は、生後3~4ヶ月頃までが目安になる
- 生後3~4ヶ月を過ぎたら徐々にカリカリ部分を増やし、噛む力を鍛えていく
- 反対に離乳期の子猫に対しては、固形フードをそのまま与えてはいけない
- ドライフードのふやかし方は、ぬるま湯を注いでおかゆ状になるよう調整する
監修者
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 理事、猫健康管理士
幼い頃から保護猫を家族として迎え入れており、大人になってからも繁殖に使われていた猫を保護するなど真の猫好き。
現在は、猫健康管理士資格を取得して一般社団法人愛玩動物健康管理協会の理事として猫に関連する幅広い仕事で活躍している猫のプロフェッショナルです。
監修者
一般社団法人愛玩動健康管理協会 代表理事
一般社団法人愛玩動健康管理協会 代表理事を務め、犬や猫の生物学・栄養学を長年勉強し、数多くの企業様のペットフード開発(レシピ制作や総合栄養食の成分設計)やサプリメント設計を請けおっております。
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目次
子猫のドライフードをふやかすのはいつまで?
子猫にドライフードをふやかして与える期間は、生後3~4ヶ月頃までにしましょう。
3ヶ月以内にカリカリの状態であげると、まだ咀嚼力が弱い子猫にとっては食べづらく、キャットフードを上手く消化吸収できずに下痢や軟便の原因になります。
しっかりと消化吸収できないと栄養が上手く猫の体に取り込まれず、栄養不足を招きやすいので注意しましょう。
また、ふやかさないと猫が食べてくれないことがあり、逆にこの時期を過ぎてもずっとふやかしてあげ続けていると、カリカリを食べてくれなくなる可能性もあります。
適度なタイミングでの切り替えが必要になる、ということも同時に覚えておきましょう。
生後3~4ヶ月を過ぎたら固形フードに切り替えていく
「生後3~4ヶ月頃には、ふやかしたドライフードにしておく」というのは前述の通りですが、反対にこの時期を過ぎたら固形にしていく必要があります。
生後5ヶ月頃になってくると歯が永久歯に生え変わっていき、歯や顎が強くなっていきます。
いつまでもふやかしたフードにしていると歯や顎を鍛えることができず、噛む力が育まれません。
また、ふやかしたフードは歯に歯垢がつきやすくなるため、歯磨きをより丁寧に行う必要もあります。
愛猫の状態によっても異なりますが、成猫に近づくにつれて、基本的には少しずつ固形フードへと切り替えていきましょう。
離乳期の猫に固形フードを与えてはいけない
子猫は消化能力が未発達なので、いきなり硬いフードを与えると、消化しきれずにお腹を壊してしまうことがあります。
まずは離乳食から始めて、その後はウェットフードや、ドライフードをふやかして柔らかくしたものをあげることにしましょう。
柔らかいものだと消化も良く、まだ歯が生え揃っていない子猫でも噛むことができます。
子猫にふやかしたドライフードを与えるメリット
ふやかしたドライフードを与えることで得られるメリットはとても多く、多少手間であってもそのひと手間が大事です。
美味しく食べられば、成長期にしっかりと食べて体を作ってくれるので、ぜひこのひと手間をかけてあげましょう!
胃腸に優しく消化吸収がしやすくなる
子猫の消化器官は成猫ほど発達していないため、硬い食べ物だと胃腸に負担をかけてしまいます。
そのため、ドライフードをあげる場合はふやかして柔らかくしてあげると胃腸に優しく消化吸収しやすくなります。
体が完全に発達して成猫になるのは生後1年~1年半と言われていますが、生後3~4ヶ月頃には徐々に消化機能も発達してくる頃なので、その時期までは柔らかいものをあげるようにしましょう。
猫の体は、成長途中でキャットフードに含まれているデンプンの消化能力が発達していくのに反比例して、母乳に含まれる成分の一種である乳糖を消化する酵素が分泌しにくくなっていきます。
そのため、猫の消化能力や体の発達状態に合わせて、上手くカリカリキャットフードに慣らしていく必要があります。
香りが強くなることで食欲が刺激される
ドライフードの状態でも香りはありますが、お湯でふやかすと温まることで、より香りが豊かになります。
美味しそうな香りがすることで、食欲が刺激されて食いつきが良くなります。
ふやかして時間が経つと香りが弱くなるため、その場合はレンジで10秒ほど軽く温め直すこともおすすめです。
フードと一緒に水分も補給できる
キャットフードをふやかしても新鮮な水を常に飲める状態にしておくことは必須です。
しかし、ドライフードに含まれている水分量は10%程度とごくわずかなので、ふやかすことで食事からも水分補給を効率よく行うことができます。
水分不足は、脱水症状リスクを高めて猫の命にも関わり兼ねないため、特に体が未発達の子猫の場合は脱水に注意しましょう。
キャットフードをお湯でふやかすのはひと手間ですが、その分、食事からも水分を補えるメリットがあるのです。
一気に食べても喉につまらない
一気食いする猫の場合、硬いドライフードを咀嚼しきれずに喉に詰まらせてしまうこともあります。
お湯でふやかした場合、柔らかくなっているので噛みやすく、その心配がありません。
咀嚼力の弱い子猫の時期なら、なおさら柔らかくしないと詰まってしまう恐れがあるので、ぜひふやかしたものをあげるようにしましょう。
歯が生え揃っていなくても食べやすくなる
子猫の時期は、まだ歯が生え揃っていないため、硬いものを噛み砕くことができず、食べづらい頃です。
硬いドライフードも、お湯でふやかして柔らかくした状態であれば柔らかいという観点から、離乳食に近い状態になるため食べやすくなります。
歯が少しずつ生え揃っていくことで噛む力がついてくる生後3~4ヶ月頃までは、柔らかい状態のものをあげた方が良いでしょう。
なお、子猫の歯は生後2週間程度で生えてきて、およそ3~6週間程度で全て生え揃うケースが多いので、3~4ヶ月頃までは必ずふやかしてあげましょう。
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子猫に与えるドライフードの正しいふやかし方
ふやかし方はとても簡単で、ドライフードにぬるま湯を入れてあげればOKです。ぬるま湯にする理由は、熱すぎると火傷をしてしまうからです。
詳しい手順は下記の通りとなっています。
- 深めの器に1食分のドライフードを入れる
- 30~40℃のぬるま湯や猫用ミルクをフード全体がかぶるように注ぐ
- ラップをして15〜20分ほど浸しておく
- 硬さを確認する
- ふやかし終わったら食べやすいように少し潰して与える
カリカリのキャットフードを最初はイメージすると思いますが、子猫の頃はおかゆのようなものをイメージしましょう。
人間の赤ちゃんでも同様ですが、しっかりとふやかしてあげることで、より食べやすくなりますよ。
15~20分ほど浸しておけば冷めているとは思いますが、与える前には人肌以下の温度になっていることも確認しておいてください。
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子猫にふやかしたドライフードを与える際の注意点
「ドライフードをふやかせばいい」といっても、相手は子猫です。注意点も多くなってきます。
大事なポイントも多いので、ぜひチェックしておいてくださいね!
熱湯でふやかさないようにする
電子レンジで温める方法もありますが、それだと加熱したときにムラができ、キャットフードに含まれる栄養成分が減ってしまいます。
お湯や温めた猫用ミルクでふやかすことをおすすめしますが、温度は30〜40度程度のぬるま湯で時間をかけてふやかすのがベスト。
理由は2つあり、1つは熱湯でふやかすと、ドライフードに含まれる成長期の猫に重要な栄養成分が熱で壊れてしまい、成長障害を引き起こしやすいこと。
2つ目は、熱湯だと熱すぎて猫が舌を火傷してしまうためです。
熱湯でふやかさず、必ず30〜40℃程度のお湯で15〜20分ほどかけてふやかすようにしましょう。
ふやかしたときのお湯や猫用ミルクは捨てずに与える
ドライフードをふやかすと、お湯の色が徐々に変わっていきます。茶色のドライフードなら、薄い茶色のような色がお湯に溶け込んでいくのです。
このように、ふやかした後のお湯や猫用ミルクには、ドライフードに含まれるタンパク質・脂質を中心とした栄養素が溶け込んでいます。
子猫の成長に必要な栄養素をたっぷり含んだものですし、水分摂取量の少ない子猫の場合は水分補給にもなります。
食べ残したフードはすぐに捨てる
ふやかしたフードを食べ残した分は、すぐに捨てるようにしましょう。
長時間置くと鮮度が失われ、香りも風味も落ちるので、子猫は食べなくなります。
水分を含んでいるため傷みやすくなり、そのまま放置していると雑菌が繁殖する原因にもなります。
特に傷みやすい梅雨の時期や夏場なら、なおさら早めに捨てましょう。
必ず1食分ずつふやかす
手間ですが、大事な愛猫の健康を守るためにも1食ごとにふやかしてあげるのが理想です。
食べ残して時間が経ち、傷んだフードを食べてしまうと、お腹を壊したりして危険だからです。
面倒だからと大量にふやかしたものを作り置きし、少しずつあげるのもNGですよ。
常にふやかしたてで新鮮な状態のフードを食べさせてあげましょう。
理想は1日1回は歯のケア
ふやかしたフードをあげる時、理想は1日1回は歯のケアですが、歯磨きに慣れていない子猫にとって歯磨きは大きなストレス要因になります。
そのため、歯磨きに慣れていない子猫の場合は、週に2~3回を目安に短時間で歯磨きの練習をしてあげましょう。
硬いドライフードは歯に付着しにくいのが特徴ですが、ウェットで柔らかいものは歯に付きやすいというデメリットがあります。
キャットフードの食べカスや歯垢が付着したり、歯石を中心に口腔内トラブルの原因になりやすいので注意が必要です。
食べた後は口の中をチェック。口の中に残っている場合は無理のない範囲で取ってあげましょう。
歯ブラシを嫌がる猫が多いので、はじめは飼い主さんの手に巻いて歯を磨く歯磨きシートで慣らしていくのがおすすめです。
子猫にふやかしたドライフードを与える回数・量
子猫は1回に食べられる量が少ないため、ご飯は1日3回~4回くらいに分けて与えるのが理想です。生後6ヶ月まではこの回数を目安にしてください。
少食の子の場合、6回くらいまでに回数を増やしてもいいでしょう。
1日の給与回数を減らしても増やしても、ご飯の量は購入したフードに記載されている給与量を目安に与えてください。
ただし、まだ体が小さい内はしっかりと食べて体を作らなければいけないので、必要量は食べてもらわなければいけません。
1回の量が少なかったとしても、1日で必要な量を食べてもらえるようにふやかすなど、工夫が必要です。
ふやかした猫用ドライフードから固形フードへの切り替え方
ふやかしたドライフードから固形ドライフードに移行するときは、1週間から10日ほどかけて、少しずつ水分量やふやかす時間を減らしていきます。
ドライフード10に対して1の割合程度とし、水を徐々に減らしたり、ふやかす時間を10分より短くしていくことで段々と硬くなります。
最初は指でつぶせるくらいの柔らかさから、最終的には硬い固形のドライフードを食べてもらうようにしましょう。
切り替えたときは消化不良が起きていないかをチェック
ふやかしたドライフードから通常の固形ドライフードに戻し始めた頃は、体調不良を起こすこともあります。
もし、ゆるい便をするようなら消化不良を起こしている可能性を考えましょう。
フードを切り替えた直後に消化不良になる子もいます。固形フードのあげる回数を減らしたり、フードと水分の割合を変えてみて様子を見ます。
それでも改善が見られないときは、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
食いつきが良すぎる子には回数を細かくわけてあげてみる
とても食いつきが良すぎる子は、固形フードに変えてからもふやかしたフードのようにがっついて食べることがあります。
これによって消化不良を起こし、便がゆるくなってしまう…というケースも実際にあります。
もし、固形フードに変えてから便がゆるくなってしまったときには、ひとつはふやかしたフードを含めるということ。もうひとつは、回数をさらに細かくわける、などの方法があります。
便がゆるくなってしまったとしたら、ふやかす際に使うお湯で水分量が多すぎるケースも考えられるため、これに該当する場合は1日の給与量を5回~6回に変えてみるのも良いでしょう。
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猫用ドライフードの保存方法
猫は嗅覚が鋭いため、劣化したドライフードの匂いに敏感に反応して食べなくなってしまいます。
未開封のものは、直射日光に当たらない風通しが良い場所で保管しましょう。開封済みのものは空気に触れないよう密閉して保存します。
小分けにした小袋タイプのものもあるので、フレッシュさを保ちつつ使い切ることができますよ。
最近のものはジップ式になっているものも多いですが、何ヶ月にもわたって与えることがないよう注意してください。
切り替えのタイミングやスピードは猫によって異なる
キャットフードのふやかしから固形への切り替えは、全ての猫において共通というわけではありません。
もちろん最終的には固形フードへ切り替えていく必要があるものの、前述した期間はあくまで目安。個体差がありますので、その子にあった期間で調整してあげてください。
急に変えてしまうと食欲がなくなってしまったり、下痢や嘔吐などの症状が出てしまう子もいるので、切り替え後は特に注意して見守ってあげてください。
食べている様子や健康状態を見ながら、慌てずにゆっくりとその子に合ったタイミングで切り替えていきましょう。
この記事の執筆者・監修者
監修者情報
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 理事、猫健康管理士
幼い頃から保護猫を家族として迎え入れており、大人になってからも繁殖に使われていた猫を保護するなど真の猫好き。
現在は、猫健康管理士資格を取得して一般社団法人愛玩動物健康管理協会の理事として猫に関連する幅広い仕事で活躍している猫のプロフェッショナルです。
監修者情報
一般社団法人愛玩動健康管理協会 代表理事
一般社団法人愛玩動健康管理協会 代表理事。犬の管理栄養士を中心に様々なペット関連資格を保有し、社内・社外問わず、犬の食育教育教材制作を行い、大型犬5頭、中型犬1頭、愛猫3匹と暮らしながら、動物保護団体支援を積極的に行っております。
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