犬の病気・健康

【獣医師執筆】愛犬の健康診断は必要?費用や注意点、受ける時期やペース

2023年4月14日

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定期的に愛犬の健康診断はしていますか?

犬は喋ることができないため、飼い主様の情報がとても重要です。

しかし異常を見つけるのも難しい病気もありますよね。そこで健康診断が重要になってくるのです。

子犬期から、成犬、シニア期になるにつれて病気になりがち。適度な時期に健康診断に行く必要があります。

本記事では検討診断を受けるペースや、診断内容について解説しています。

執筆・監修

杉山 杏奈

杉山 杏奈

獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、動物看護士・トリマーの専門学校で教員を行う傍らトリミングのライセンスも取得。その後、ペット保険会社、動物病院向けの専門商社に勤務。現在は2児の母で子育て奮闘中です。

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犬の健康診断は必要?

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体調不良でも飼い主の前では気丈にふるまい、飼い主を心配させないように元気に振る舞う子は少なくありません。

そのため、愛犬の健康状態を客観的に把握しておくことは、とても大切なことです。

健康状態を健康診断で数値化することによって健康時の状態が把握できるので、体調に異変があった際の比較が容易となり、病気の早期発見、早期治療に繋がります。

犬の加齢スピードは人間の4~7倍です。少しでも長い時間を愛犬と過ごすためにも、定期的な健康診断をすることをおすすめします。

愛犬の健康診断を受ける時期やペース

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幼犬、成犬、シニア犬、老犬で健康診断を受けるペースは変わってきます。

健康診断日を忘れないように、愛犬や飼い主の誕生日、ワクチン接種時期などキーとなる日を決めておくのがよいでしょう。

幼犬:0~1歳 (人間年齢:約1~15歳)

健康診断のスタートはワクチン接種もひと段落し、避妊・去勢手術を考え始める生後6ヶ月頃が望ましいです。

この時にみつかる異常は先天的な病気の可能性が高く、定期的な投薬や手術などが必要になるケースもあります。

成犬:1~7歳 (人間年齢:約15~50歳)

犬は1年で人間に換算すると4~7歳ほど年をとります。

そのため半年に1回の健康診断でも良いくらいですが、少なくとも年に1回の健康診断を行うことが望ましいです。

血液検査や尿検査などの数値も安定してくるので、愛犬の健康時の状態を把握できます。

例えば、「白血球の数値が基準値よりも少し高いが、この状態が愛犬の正常値」ということも把握できます。

シニア犬:7~10歳 (人間年齢:約50歳~70歳)

シニア犬になると人間年齢では50歳を超えてくることになるため、半年に1回の健康診断が望ましいです。

シニア期以上になると、「腫瘍、心疾患、腎・肝疾患、糖尿病、甲状腺疾患、副腎疾患」などの慢性疾患が発症しやすくなります。

老犬:11歳以上 (人間年齢:約80歳以上)

老犬の場合、常に何が起こるかわからない状態です。そのため、年に2~3回が望ましいです。

足腰も弱り食も細くなりやすいので、いつ病気が発症してもおかしくない年齢です。

※大型犬や小型犬の違いで人間年齢に換算すると10歳前後の差は生じますので、ここに記載している人間年齢はあくまでも目安となります。

犬の健康診断の内容

犬種や年齢、生活環境に応じて必要な検査はそれぞれ異なりますので、獣医師と相談して決めましょう。

各検査項目には基準値があり、そこからおおきく外れていたり、バランスがおかしくないかなど総合的に判断して健康状態を把握します。

問診

ご家庭での様子や食欲などの状態、日常生活で気になることなどを確認します。

言葉が話せない愛犬にとって飼い主様からの情報はとても重要です。

触診・視診

全身状態、顔、皮膚、腹部、神経、骨格、歩き方や関節の異常、しこりの有無などを診て触り異常がないか確認します。

聴診

心拍数、心雑音、不整脈、腹部の消化器の音、肺音、呼吸数などの音を聴いて異常がないか確認します。 

血液検査

血液を採取して各臓器や全身状態などを把握する検査で、大きく4つの検査に分けられます。

生化学検査肝機能や腎機能の異常、脂質や糖の代謝、栄養状態などの検査
血液学的検査貧血の有無、白血球・赤血球・血小板の異常などの検査
感染症検査細菌培養検査、伝染病の有無、、寄生虫感染の有無などの検査
特殊検査腫瘍マーカの測定、炎症マーカーの測定、アレルギー検査、各種ホルモン(膵炎の有無、腎臓病・心疾患・甲状腺疾患・副腎皮質疾患の有無など)検査

尿検査

尿を採取して尿のPH確認、腎臓病・糖尿病・膀胱や尿路疾患、尿結石症などの異常がないか確認します。

便検査

便を採取して血便、異物や寄生虫の有無、腸内細菌のバランス、消化状況などに異常がないか確認します。

超音波検査

確認したい部位にゼリーを塗ってプローブを当てて検査をします。

主に臓器の構造・形・動きに異常がないか確認し、レントゲン検査では映らない結石なども発見できます。

レントゲン検査(X線検査)

レントゲン装置に横になり撮影し、外からでは見ることができない骨や関節の異常、心臓、肺、肝臓などの臓器の位置や形、大きさなどに異常がないか確認します。

犬の健康診断を受ける場所と費用

かかりつけの病院で行うのがベストですが、健康診断を実施していない病院もありますので、まずはかかりつけの病院に相談してみましょう。

費用は受ける検査項目数によって異なりますが、約7,000円~30,000円の動物病院が多いです。

また、病院によってはセット料金価格やドッグドック価格などがあり、通常に受けるよりもお安く設定されている病院もあります。

犬の健康診断の注意点

健康診断は事前に検査内容を確認したうえで、予約をして受診します。

検査内容によっては飲水や食事制限が必要な場合や、事前に尿や便を採取して持参する必要があることもありますので、予約時に合わせて確認をしましょう。

人間の健康診断同様に、事前注意事項などがありますので、しっかりと説明を聞いておくと安心ですよ。

日常的にできる愛犬の健康チェック方法

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愛犬との毎日のスキンシップやお世話の中で①~④を取り入れ、セルフ健康チェックを行ってみましょう。

観察するだけでは気付けないようなことも、触れ合うことで気付けることがあります。

愛犬のちょっとした変化を見逃さないためにも、次のステップを試してみてください。

①体に触れて確認

朝起きたときに愛犬のからだ全体を撫でながら触り、しこりの有無や痛がるところ(触るのを嫌がるところ)が無いか、皮膚の状態は正常かを確認します。

②見た目やニオイで確認

愛犬の顔を正面からみて腫れ目ヤニなどが無いか、耳から異臭がしないかを確認します。

腫れは左右を見比べて左右対称になっているかを確認するとわかりやすいです。

③排泄物で確認

便や尿に異常が無いか、元気や食欲はあるかを確認します。

便や尿の色がいつもと違う、便の形がいつもと違う、ニオイがいつもと違う、などを確認してみてください。

④行動で確認

散歩の時に歩くのを嫌がったり、足を引きずっている様子、尿を出すときに痛がっていないか(痛い時はキャンと泣いたりします)を確認します。

上記に該当することがあってもすぐに病気というわけではありませんが、気になることがあれば獣医師に相談することで病気の早期発見に繋がります。

この記事の執筆者・監修者

執筆・監修者の情報

杉山 杏奈

杉山 杏奈

獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、動物看護士・トリマーの専門学校で教員を行う傍らトリミングのライセンスも取得。現在は2児の母で子育て奮闘中です。

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